~~~はじめに~~~

         「被差別部落」…皆さんはこの言葉を聞いてどう思われますか?
私が、このブログを始めることにしたのは、職場で「○○地区は危ない」などと
“心無い会話”が聞こえてきたからでした。それも複数の方から…。政策的には、約150年前に「解放」されたはずの被差別部落ですが、職場だけではなく、インターネットやパルプマガジン(低俗雑誌)などで、今尚、多くの差別があることを実感します。被差別部落出身の妻と結婚し、部落の暮らしを知る中で「部落の良さや暖かさ」を皆さんに伝えたいと思います。

2015年1月16日金曜日

水平社宣言を読みましょう!

このブログをお読みいただいている方なら、
当然ご承知でしょうが、大正11年3月「全国水平社」の創設大会で読み上げられた
「全国水平社宣言」を簡単な説明を加え掲載いたしました。

部落解放運動の魁となった全国水平社ですが、
その理念と運動方針は、現在も尚、引き継がれております。

この時代、差別に対して湧き上がる若きエネルギーが感じ取れる、
文学的にも優れた作品になっております。

当ブログへは、もう少し早いうちに掲載する予定でしたが、
この度、遅ればせながら掲載する運びとなりました。

ぜひ、皆様・・・
(もう既に読まれた方も)
どうぞ、ご一読お願い致します。

全国水平社宣言へ

S、スギムラ

部落を皆さんに知ってもらいたい!
このブログを、多くの方に見てほしい。そして、
部落を知ってほしい。それが、差別をなくす早道だから・・・
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2015年1月8日木曜日

部落の食文化-2:油かす(&写真集「屠場」の紹介)

前回「被差別部落の正月風景」の中で、
「油かす」の話が出てきました。
それ以外でも、度々当ブログには油かすが登場いたします。
ただ、よくよく考えたら、
油かすの説明をしていないことに気づいたのです。
読者の皆様、油かすを知っている方も多いかと思いますが、
あえて、今回はワンコーナー設けさせて頂きます。
題して「油かす特集!!!」

では、どうぞ。

=================

   
「油かす」というのは、石鹸用の油を取るために、
牛や馬の大腸や小腸をカリカリになるまで揚げた残りカスです。
油を抜いてあるので、状態とすれば、
ホルモンを2~3日置いておいて、乾燥した感じでしょうか?

・・・うーん。
これでわかりますかねぇ?
何とも、私の表現力がたらないもので・・・。
参考に、写真を載せておきます。

“かす”と名前がついて入るものの、
今や、ものすごく高級で、100gあたり5~600円程します。

多分想像ですが、取った油の価格よりも
油かすの方が高価だと思われます。
そりゃ、スーパーでも、100g500円の肉なら
結構いいのが買えますものね。

部落に伝わる食材の一つである油かすは、
これまで、一般には知られておりませんでしたが、
最近のB級グルメブームで随分と知れ渡たり、
世間一般に認知されてきまました。

以前は、部落内の肉屋でしか扱っていなかった油かすや
さいぼしも、近頃は近所の肉屋でも並ぶようになりました。
うどん、お好み焼き、野菜炒め・・・etc
店舗で提供される商品に油かすが使われるのも珍しくなくなってきました。
こうして、部落の伝統・文化が一般にも受け入れられることは
すごく嬉しいことですし、これらの食べ物を通して、
部落のいいところを知っていただけるようになれば、
差別が無くなる要因の一つになるのではないかと考えます。

余談になりますが、よく差別をなくす早道は、
「部落に人をどんどん入れて部落民濃度を薄める」、
逆に「部落民が部落外に出ていって散ればればいい」
と言う事を、しばしば耳にします。

部落民と部落外民をごちゃ混ぜのチャンプルーにすれば、
誰が部落民で、誰が部落外民かわからなくなって、
そのうち有耶無耶になってフェードアウト的に部落が消滅するという・・・。
これを私は便宜上勝手に「部落希釈論」と名づけていますが、
これは、私の考える部落解放ではありません。

私の解放理論というのは、
「部落民が、部落民である上での部落解放」なのです。
つまり、部落であることを自他共に認めた上での付き合いなのです。

例えば、今から半世紀ほど前までは、
本土に渡ってきた沖縄の方は、相当な差別があったと聞きます。
特に大阪の大正区は、沖縄出身者が多く集まり
一大コミュニティができているのですが、
それでも、かなりの攻撃があったようです。

しかし、リゾート地である沖縄の良さや、
ミュージシャン・俳優・スポーツ選手などの活躍もあり、
沖縄が理解され、今や「差別も無くなった」と言っていいかと思います。

「君、どこの出身?」
「僕は沖縄だよ!」
「えっ!沖縄!海も綺麗やし。いいなぁ。凄いね~」などと
羨望の眼差しさえあります。

真の部落差別の撤廃ということは、こういうことだと思います。
部落民は部落のアイデンティティを持ち、
部落外民は部落を理解し認める。
決して、部落を希釈するのではないのです。
いや、希釈をしてもいいのですが、それでも、
部落民であるアイデンティティは大切にせなければんりません。

また、どちらかの一方通行ではいけません。
部落民、部落外民双方が理解し、
打ち解け合う努力をせねばなりません。

そうすれば・・・
「君、どこの出身?」
「僕は部落出身だよ!」
「えっ!部落!食べ物も美味しいし。いいなぁ。凄いね~」となる日が、
やってくることを信じてやみません。

あ、話がそれてしまいましたので、
本題に戻しましょう。

==================

さて、この油かすですが、
写真を見ていただければ分かるように結構大きなものです。
直径10cm、厚さ3cmほどです。
これを、細かく切って料理素材として使用するわけです。

外側の茶色い部分は、「噛めば噛むほど味が出る」といいましょうか、
吸い取った調味料と、揚げた香ばしさが何とも言えません。
そして、内側の白い部分は、丁度ロウのような感じです。
熱い料理に用いると、程よく溶け込みます。
油を取った残りカスなのに、やはり脂分なのですね。

油かすといえば、大好きなのが「かすうどん」です。
暖かいうどんの上に、細かく刻んだ油かすを程よく煮込んだ、
河内(かわち)名物のうどんです。

私が、子供の頃に流行った歌に
「河内のオッサンの歌」というのがありますが、
その河内です(わかりますか?)

大体の場所とすれば、
大阪府の藤井寺・羽曳野・松原辺りですが、
この地域は、兎に角、食肉産業が盛んで、
「と畜場」(昔は屠殺場と言っていましたね)も各所にありますし、
地区内に入れば、大小各々の食肉加工所が多々あります。

今、私の手元に、一冊の写真集があります。
題名は、ズバリ「屠場」。
写真家で、映画監督、プロデューサーをされている
本橋成一氏が、大阪府M市の屠場を長年かけて写真に収めた
とても貴重な写真集です。
本橋氏は、昨今話題の映画「ある精肉店の話」の
プロデューサーをされておりますが、その元ネタは、
この現場(M市営屠場)で取材をする中で仕入れたそうです。

この、写真集「屠場」の中に、誠に興味深い写真があります。

トラックの荷台にイッパイに積まれた内臓です。
写真説明には、「解体時に取り除かれた脂身もまた業者に引き取られ利用される」と
ありますので、どうやら、これが油かすの元の姿のようです。
コレを業者が引き取り、油を抜いて石鹸などに用いられるのです。

私が度々訪れるのは、大阪府H市にある、
食肉産業が盛んな被差別部落M地区内で肉加工品店を営んでいる
「ギンワ食品(仮名)」という店です。

この辺りは、改良住宅が立っておらず、
昔ながらの町並みが続くのですが、
どの家屋も軒にクレーンや大型冷蔵庫があり、
食肉産業が本当に盛んなのです。
ほとんどが小さな家なのですが、時折とてつもない豪邸が現れ、
食肉産業であるムラの豊かさを垣間見ることが出来ます。

改良住宅が建っていない地区内は、クネクネとまるで迷路のよう。
とても車では入れない路地も多く残っておりますが、
各家は、建て替えがなされており、街としては美しいです。
このあたりのことは、いずれ「見て記・行って記・被差別歩記」の
コーナーで詳しく取り上げるとしましょう。

この店に行けば、自家製さいぼしと油かすを買って帰ります。
油かすは、半乾状態ですので、そのままでも暫く保存が効きますが、
お店の方曰く、刻んで冷凍しておけば長期保存できるということです。

入手としては、部落内の肉屋で購入するのが確実ですが、
難しい場合は、通販サイトを利用するか、
最近は、大きな食肉専門スーパーもできていますので、
そのような大型店では扱いがあるかもしれません。


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